米国の長期金利が上がったから株が下がったというけどどういう関係なの?
金利と株価の関係性を解説していきますね。
国債と金利関係
金利と株価の説明の前に、国債と金利の関係を知る必要があります。
・短期金利:一般的に中央銀行の政策金利の事を言います。
現在の日銀の金融政策は長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を行う方針です。
・長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう買い入れを行う
債券投資には以下の二つの目的で行われます。
・キャピタルゲイン(価格差益)
債券は償還時(返済時)の金額は変動しないという特徴があります。
以上の理由から債券価格と金利は逆の動きをします。
イメージがつかないなぁ
イメージしやすいように数字を入れて説明します。
債券とは返済時に返すお金が確定していて、その権利を現在価格で売買するものを言います。
10年物国債で例に出すと・・・・・
10年後100万円返しますという権利を80万円で売買するといったイメージです。
差額の20万円が10年後利益として返ってくるという仕組みです。厳密には利息もプラスされます。
国債が買われて国債の価格(販売価格)が上昇すると10年後に返ってくる100万円は同じなので利回り(金利)が低下します。
具体的な数字で説明すると価格が90万円になったとしたら10万円の利益になってしまうという事です。
繰り返しになりますが、債券価格が上昇すると利回り(金利)が下がるという事になります。
債券は将来価格が固定されていて現在価格が変動するんだね
一般的な株式などは現在価格で購入したら、将来価格が変動し利益や損失になります。
国債と株価は将来の価格が確定しているか変動するかの違いがあります
現在の国債は短期間の物はマイナス金利になっています。
年数 | 金利 | 年数 | 金利 |
1年 | -0.12% | 20年 | +0.533% |
5年 | -0.057% | 25年 | +0.645% |
10年 | +0.16% | 30年 | +0.725% |
15年 | +0.366% | 40年 | +0.752% |
※この金利は令和3年3月1日時点の物です。
10年物国債でほぼ0近くになっていて、それよりも短期だとマイナス金利になっています。
マイナスになっているのならだれも買わないんじゃない?
日銀が買ってくれる保証があるから買う人はいます。
金利というとわかりずらいので、国債の利回りと置き換えてもいいと思います。
以上が国債と金利の仕組みになります。
金利と株価の関係
理論株価というものを知る必要があります。
理論株価=企業の利益 ÷(企業の収益率(金利)-企業の成長率)
以上の数式で株価は求められます。この式から読み取れるのは以下のとおりです。
・利益が増えると分子が大きくなるので株価が上がります。
・成長率が上がれば分母が小さくなるので株価が上がります。
この考え方は基本なので知っていて損はないと思います
国債と金利から株価を読み解く
国債が売られるときとは以下の状況の時です。
・国債の利回りが低下して魅力が減った時
・債券価格が上昇するので利確
国債がどういった理由で買われたり売られたりするかを知れば短期的な株価の見通しが立てられます。
現在FRB(米国連邦準備理事会)は長期金利上昇を容認する発言をしました。
その影響でニューヨークダウと、日経平均株価が2月末~3月5日下落しました。
短期集中投資をする場合は要人の発言に注意しなくてはいけません。
長期投資の場合は特に気にしなくても大丈夫です
FXをやっている方はこのFRBの発言で円安ドル高が進みました。
数か月前まで103円だったのが、108円になっています。
米国ETFを購入されている人の為替にも影響していますので、買い進めた人は円安で利益がのびたことでしょう。
このようにいろんなものがつながって価格が変動するという事を知っていただければと思います。
まとめ
国債価格が上昇すると、利益(金利)が減少する
理論株価の計算式により、金利が上昇すると分母が大きくなり株価が下落する
国債が売られている背景等を考えると投資先の目安がつきやすい
いろんなものがつながっていて影響を及ぼしている
知識があるとその裏にあるニュースがわかるようになって面白くなります。
それが投資をするとき判断につながるようになりますので知識武装をすることは資産を守るのにも必要です。